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「I love sports.」

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2020年のオリンピック招致運動が6日から動き出した。なでしこジャパンの澤穂希ら五輪とパラリンピックの代表選手らが招致大使として国際オリンピック委員会IOCに開催計画書を提出。招致委員会会長東京都の猪瀬直樹知事は早速10日にロンドンで開く海外メディア向けの記者会見で東京の計画の魅力をアピールするため、成田空港を出発した。対抗馬はスペインのマドリードとトルコのイスタンブール。開催地の決定は9月のIOC総会になるが、それまでにIOC委員の票をどれだけ集められるか。

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猪瀬知事は年明けからtwitterでこれらの英文を入れて発信を始めた。また、丸ビル内に招致祈念神社が作られ、レスリングの吉田沙保里選手らメダリストが参加してイベントが行なわれた。猪瀬知事も神社の鈴を鳴らし気勢を上げた。日本オリンピック委員会JOCがある原宿駅前はじめ、渋谷などあちこちので、澤選手などなでしこジャパン、卓球の福原、レスリングの吉田、車椅子テニス国枝などロンドン五輪で活躍した選手がアップで登場する派手な招致ポスターが並ぶ。開催による経済効果は東京都内で1兆6700億円、その他の地域で1兆2900億円の合計2兆9600億円と試算。五輪開催の17日間で約850万人の観客を見込む。1998年の長野冬季五輪は約144万人、02年のサッカー・ワールドカップ日韓大会は約144万人。震災、原発、不況など閉塞感を吹き飛ばす絶好のイベントと期待されている。

2016年開催で東京が敗れたのは、国内での支持率が低かったのも一因。総合評価では1位だったが、支持率では7つの候補地のうちで最低。今回も昨年5月にIOCが発表した調査結果では、マドリード78%、イスタンブール73%。東京は47%と低い。ロンドン五輪のあとに行なった調査では66%と上がったがまだ低い。なぜ支持率が上がらないかと言うと、日本では賛成、反対、どちらでもない、の3択のうち、どちらでもないが30%程度あるため。間際にならないと態度を鮮明にしない国民性が足を引っ張っている。さらに長野五輪の苦い経験がある。開催に対して国が面倒を見ないことで、開催後に県民負担が尋常でなかった。アテネ五輪では総費用が大会経費を除いても当初の2倍以上になった。その後遺症が今も残って、ギリシャ政府の財政逼迫の要因となっている。歳出削減とか増税とか、公共料金値上げが行われて抗議の声が起ったのも目新しい。費用を都民の医療などの社会福祉に費用を回すべきだという声もある。

見込みはどうだろうか。111人のIOC委員はスポーツ貴族と言われる。移動は夫婦でファーストクラス。大使並みの歓迎を受ける。それらの人を口説くには理屈では行かないサムシングがある。かっては1票3000万円とも言われた。アジアオセアニア29、アフリカ15、南北アメリカ20で欧州47。欧州委員の票を取り込まなければ勝ち目はない。ロビイングでの日本の切り札は皇族。IOC委員で竹田JOC委員長は皇族の出。その筋からの協力をお願いしてはどうか。また日本体育協会張会長はトヨタの元社長会長で世界に幅広いネットワークを持つ。安倍内閣もスポーツ庁新設を計画。復興と絆を世界にアピールすれば従来にない強いアピールにもなる。立候補したからには国をあげて実現することだ。

[ビハインド・ザ・ゲーム/スポーツライター・鳴門怜央]
《NewsCafeコラム》
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