三冠馬vs牝馬三冠馬 | NewsCafe

三冠馬vs牝馬三冠馬

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世紀の名勝負…。残り100mの叩き合いは近年まれにみる激闘だった。何しろ叩き合っていたのは三冠馬と牝馬三冠馬。これをみて興奮しないわけがない。この壮絶な叩きあいを制したのは3歳牝馬ジェンティルドンナ。史上最強馬の声が上がるオルフェーヴルに競り勝ったその姿は牝馬の枠に収まらないスケールを感じさせた。今回のレースで最も注目されていたのは、凱旋門賞帰りのオルフェーヴルとその凱旋門賞の勝ち馬であるソレミアとのリベンジマッチ。しかし冷静なものでソレミアに日本の馬場適性がないことをファンは分かっていた。単勝人気(7番人気)からも分かるとおりソレミアよりもジェンティルドンナに多くのファンは注目していた。

これといった逃げ馬が存在しないため、戦前からスローペースで流れることが予想された。まさにその通りで先手を取ったビートブラックの1000m通過は60秒2。ジェンティルドンナ、ソレミアは2、3番手をキープし折り合いに専念した。オルフェーヴルも多少掛かっていたが中段で待機。フランスでスローのレースを経験したためかいつもよりは落ち着いているように見えた。4コーナーを周る時点ですでにオルフェーヴルは進出を開始。大外を回って先団に取り付いた。ジェンティルドンナは内から進出を狙う。いま思えば直線に入った時点ですでにこの2頭の勝負になっていた。

そして問題のシーンが訪れる。前がふさがったジェンティルドンナの岩田騎手は外にいたオルフェーヴルに馬体をあわせ弾き飛ばす勢いで強引に2頭の間に割って入った。オルフェーヴルが食い下がるも最後はハナ差で内のジェンティルドンナが優勝。三冠馬のマッチレースに場内は大歓声が沸いた。しかし場内にいたファン。テレビを見ているファンは「降着か…。」という思いが頭をよぎったはずだ。

レースが終わって20分以上がたっても審議のランプが消えることはない。結局到達順位通りの確定となったが、ジェンティルドンナの岩田騎手には2日間の騎乗停止処分が下された。この結果を受けての率直な感想は「なぜ?」である。岩田を騎乗停止処分にするのであればジェンティルドンナも降着にしなければ筋が通らない。

JRAの裁定の不可解さは今に始まったことではないが、もういいかげんにみんなが納得する形を取らなければいけない。パトロールフィルムを見ればすぐに分かるが最後の直線でジェンティルドンナの前を走るオルフェーヴルが真っ直ぐ走らず内に寄ってきたことは事実だ。

オルフェーヴルの池添騎手は今回の判定に納得していないとコメントした。では、自身のあのオークスのトールポピーの斜行はどう説明するのか。悔しいのは重々承知するが、現役最強馬がちょっと当てられたくらいで勝ち負けの言い訳にするのは自分としてはいかがなものかと思う。

それでも最後の直線はまさに名勝負。この対決は確実に後世に語り継がれると思う。今後はまだ分からないがオルフェーヴルにはぜひ来年も現役を続行してほしい。そして10月のフランスの地でもう一度2頭が叩き合っている姿を見たい。

[執筆者:松岡慶]
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