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「負けず嫌いなんだな」

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カナダで行われた女子レスリング世界選手権。55キロ級の吉田沙保里は4試合連続フォール勝ちで優勝。五輪を含む世界大会で前人未到の13連覇を果たした。五輪、世界選手権の連勝も最多の62。男子グレコローマン130キロ級で世界大会12連覇、61連勝の人類最強の男と言われたロシアのアレクサンドル・カレリンの記録を超えた。

初戦の2回戦、3回戦をフォール勝ち。準決勝の相手はヨーロッパ女王、ウクライナのシニシン。なんとこの試合、第1ピリオドをマット際で投げられて先制を許す。今年5月のW杯。ロシアの19歳ジョボロワに1590日ぶりに敗れたが、その悪夢が横切る。しかし五輪で逆転優勝した48キロ級小原日登美の試合を思い出した。冷静さを保ち、ロンドン五輪で見せた片足タックルで第2Pを奪うと、第3P終盤には疲れた相手をマットに沈めた。決勝では米国の若手のマルーリスを寄せ付けずにフォール勝ち。最後まで集中力を保ち続けて、前人未到の記録を打ち立てた。今回の世界選手権はロンドン五輪が終了して50日余り。ジョロボワも五輪決勝の相手も含め有力選手のほとんどが休養。しかし吉田もロンドンからの帰国後、多忙を極め練習不足が心配されたが、20日間で調子を取り戻した。

吉田が最も苦しかったのはロンドン五輪の金メダルを目指したときだ。今年5月のW杯でジョボロワに敗れる。それは4年4か月ぶりに味わった敗戦だった。無敵のタックルを研究され、返された。これまで絶対だったものが、綻びたのだ。本番まで2か月半。不安と緊張が襲う。さらに日本選手団旗手の重責も負う。旗手はメダルが取れないというジンクス。攻撃的な速攻両足タックルで、フォール勝ちの勝利の方程式。それを破られたショックは大きかった。そこでロンドンでは返されにくい片足タックルに戦法を切り替え、ポイントにこだわった。攻撃的な選手が戦術を変えてまで勝ちに行くのは難しいと言う。これまでの美学を捨て、敢えて勝ちにこだわった。そして伊調と並び日本人初の3連覇を達成。吉田は「大人のレスリングができた。負けを繰り返して人は賢くなる」と言う。この金メダルはカレリンに並ぶ記録となった。

レスリング男子130kg級。同じ格闘技でたとえれば、ボクシングのヘビー級、柔道の100kg超級。大相撲の日馬富士が133kg。人類最強の男の力勝負だ。それだけにカレンの記録と吉田の偉業を同じ土俵で比べるのは少し無理があるかとも思う。しかし五輪3連覇の後は、もっぱら聞かれるのはカレリン超え。「超えるために頑張らないと」と反応し、「口に出したからには、成し遂げたい。言ったからには有言実行」とプレッシャーをかけ13連覇を達成。この11年間誰にも王座を渡さなかったことが凄いことだ。カレンも「記録更新は強い精神力、忍耐力、努力と決断力によるもの」と祝辞を贈った。1日成田空港に戻った吉田は早速の記者会見。5日に30歳の誕生日を迎えるが「20代で13連覇できて、最高のプレゼントとなった。熱が出たときも、怪我したときもあった中で気持ちが折れずに戦ってきた。相当負けず嫌いなんだなあと思う」と語った。「4年間頑張ろうという気持ちになっている。少し休むが、来年以降も連覇を目指せるなら目指したい」。吉田にはリオでの五輪4連覇が次の目標となった。

[ビハインド・ザ・ゲーム/スポーツライター・鳴門怜央]
《NewsCafeコラム》

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