環境にやさしいスシ | NewsCafe

環境にやさしいスシ

社会 ニュース
一時は不漁が心配されたサンマ漁もどうやら持ち直し、脂の乗った良型のサンマが東北の海から入荷し始めている様である。
その宮古産のサンマを目の前で焼いて無料で食べさせる「恒例・目黒のサンマ祭り」が終わると、いよいよ食欲の秋。
好物の魚介類はこれからが美味しいシーズンである。我が家のカミサンは魚を下ろすのが上手だが、最近では「魚をさばけない主婦」が大多数。多くの家庭では「セラミック包丁が一本」で、魚をさばくのに必要な出刃包丁が無いのは普通の様である。
年々下降気味の魚の消費に危機感を持った業界は「食べ易い魚」の開発に力を入れている。近所のスーパーの魚売り場を覗くと定番の刺身コーナーの充実と合わせ、各種の三枚に下ろした魚・下ごしらえの済んだ魚が並んでいる。若い人にとって「魚はプレカット・下ごしらえ済みが常識」となるのも近いのかもしれない。
ここ20年余りで食のスタイルを大きく変えたのが回転寿司の登場だ。今や「スシと言えば廻るもの」と思っている子供は多いと思う。
好きなネタを自由に取れる便利さと「皿の色で食べた値段がわかる明朗さ」が受けたのだと思う。その昔、目の前で握ってもらうスシは、気取った店では値段の表示が無く「幾らなのか?」とドキドキしながら、とりあえず安そうな「たこ・いか・玉子焼き」から握ってもらうのが定番であった。スシの話題は多いが、いよいよスシにもエコロジーの時代である。
従来も、ハマチなどの養殖には大量のイワシなどのミンチしたものが餌さとして使われ、魚資源の無駄使いと海洋汚染が問題とされてきたが、いよいよパンダなどの絶滅危惧動物の世界的な保護団体として有名な「WWF=世界自然保護基金・ジャパン」が魚介類の乱獲や海の汚染を防ぐ為に環境に優しいスシネタを選ぼう…と言う活動を始めたようだ。報道によると『マグロやエビなど日本人がよく食べる魚介類22種について環境に与える影響を評価した「寿司ガイド」を作り、ネタ選びの際に参考にしてもらうのが狙い』とのこと。環境への影響が最も深刻なのは、天然物では巻き網・はえ縄で大量捕獲されている大西洋産の本マグロ・インド洋産のミナミマグロなど。養殖物では、国産のカンパチやハマチ類・チリ産のサーモン・タイ産のエビなどが周辺海域を汚すなど悪影響が大きく、比較的安心して食べられるのは、日本近海の天然ブリ、サバ、サンマ、イカ…養殖では国産ホタテだという。
また世界の水産資源は、天然ものの漁獲量がこの50年で約3倍に増え、約3割の魚貝類が「とりすぎの状態にある。近年は養殖が急速に増えており、水質悪化などの問題も広がっていると警鐘を鳴らしている。

今でもスシは「ハレの日のご馳走」である。いちいち「エコを気にして…は無粋」であるが、一度WWFジャパンのホームページをチェックしてみては…と思うのである。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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