潔さvs.曖昧のドラマ | NewsCafe

潔さvs.曖昧のドラマ

政治 ニュース
日本に駐在する海外メディア記者から見て、日本の政治は極めてわかり難いものだという。

彼らは日本の政治の密室性もさることながら、曖昧語で終わる政治家の言葉・政治家のスタンスの曖昧さも難関の一つであり、日本の政治のわかり難さの頂点にあるのが民主党政権の存在であると言う。

民主党は「党である以上最低限必要な綱領がない事」は良く知られている。綱領とは、党の根本・党員をつなぐ共通の価値観・目指すものである。
自民党は「憲法改正」であり、某宗教団体を母体とする政党は「国立戒壇の設置」であり、某イデオロギー政党は「人民の人民による…」と言う具合である。

民主党で強いて綱領に当たるものと言えば「マニュフェスト」だ。マニュフェストは「選挙の公約」とも言われているが、従来の日本の政治では勝つための空約束とされてきた。
これを議会政治の本山であるイギリスに習い「国民の検証が可能な約束」と明確に位置付けたものである。その意味では消費税増税に反対する民主党議員が「マニュフェストに無い増税を強行し、マニュフェストにかかれた国民の生活が第一という約束を無視するのは国民に対する約束違反である」と憤るのは理屈が通っているのである。

ところが現実の政治では「マニュフェストに無い増税推進が主流派・官軍」「マニュフェストに戻ろうと言う正論が反主流派・賊軍」となるのである。
賊軍視された一派が、"冗談ではない。一緒にやってゆけないから党を出る"と言うのは世界の政治の常識から見れば必然なのだ。

世論調査では「小沢党に対する期待&支持は15%程度」とされている。
15%程度の支持率の評価は論の分かれるところであるが、民主党内閣や自民党の支持も概ね15%~20%程度である事を考えると意外に高いとも見える。3党合意と言う数の力で増税路線をひた走る事への国民の不満も大きい。「うそつき」といわれた咎めは選挙で出てくるのではないだろうか。

この見立てだと新党を結成する50名余りの衆参議員は「潔さの点でアドバンテージあり」と言う事だ。
この様な事態のとき、必ず問題になるのが様々な理由を言い立てて潔くしなかった議員達の存在である。

今回のドラマでは「増税には反対したが離党せず・採決には棄権&退席で離党せず」などの議員が多数いるのである。

その態度表明にはそれなりの理由や思惑があるのだろうが、国民には態度が曖昧と見える。選挙でのリスクは大きい。
いずれにしろ増税法案の審議が終われば政治は選挙モードだ。「小選挙区制度での選挙」は選挙民の気分で大逆転が起こるのである。まさに政治は「人の思惑が作るドラマ」なのだと思う。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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