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「もう数段レベルアップしないと」

スポーツ ニュース
7月2日、なでしこジャパンの五輪代表メンバーがついに発表される。わずか18名に選ばれるのは誰なのかに注目したいところだ。
だが、それは来週のコラムに譲るとして、今回は先日行われたスウェーデン遠征について振り返りたい。

「自分たちの立ち位置がわかった。もう数段レベルアップしないと金メダルには遠いのかなって思っています」

キャプテンの宮間は遠征からの帰国直後、きっぱりと言い切った。

6月18日に行われたアメリカ戦は1-4と惨敗し、20日のスウェーデン戦は1-0と辛勝。結果、内容ともに厳しい試合であった。

選手のコンディション不良やベストメンバーが組めなかったというマイナス要因もあるが、とりわけ目に付いたのが攻撃のバリエーションの少なさと守備の連携不足である。

攻撃については、2戦とも得点を決めたFW永里が孤軍奮闘している姿が目に付いた。相手最終ラインとの駆け引きだけでなく、中盤もしくは最終ラインまで下がって自らボールを受けるシーンなど、手詰まりになりそうになっても何とかチャンスを作り出そうとしていた。

本来ならゴール前で真の力を発揮するストライカーは、なぜ汗かき役までこなさなければならなかったのだろうか。
永里本人は「攻撃面に関しては攻撃の形が少ない」と嘆いていた。さらに、自分が出た場合に限った話と前置きした上で「他の人が受けても、違う形でもいいから攻撃にできるようにならなければ。持っている攻撃のバリエーションが少ないと、ひとつ研究されたらそこで手詰まりになってしまう」という。

つまり、永里以外の選手が攻撃できるようにならないと、得点チャンスは広がらないということだ。また、これまで永里が下がってまで受けているところを、本番では中盤の選手に任せることも選手ミーティングで話し合われていたという。中盤の選手とはボランチの澤らを指している。今回は本調子ではない澤だったが、彼女がきっちりボールを納めることができれば、永里ら前線の選手が攻撃する形は増えていくと思われる。

また、守備については、国内リーグ仕様のゲーム感覚が残っていたように感じた。特に相手の速い攻撃に対して、なでしこたちは身体が付いていかない様子だった。佐々木監督も「(強豪国と)なでしこリーグとは、フィジカルや高さ、パワーが違う。そこを克服するのはなかなか大変。代表に来て感覚を養っていかないといけないという難しさはある」と苦労をにじませた。今後、男子大学生との練習、オーストラリア女子代表との壮行試合で感覚を取り戻していく予定だ。五輪仕様に切り替えるために残された時間は、約1ヶ月。昨年のW杯でもスイッチを入れ直せた経験があるため、それほど問題はないと信じたい。

五輪直前にこれだけの課題が挙がったことについて、宮間は「これが本番前で良かったな、と前向きに捉えています。もしかしたらもっと前にあったら、もっと緻密な準備ができたのかなと思いますけど。でも、現実を受け止めてしっかり準備していきたいと思います」と、ポジティブだ。

永里も「(課題が多く出たことについて)もちろんプラスに捉えているし、課題がでないとチームとして成長していけないから。残り時間は十分にあると思っています」と、力強く語る。

そう、なでしこたちは逞しいのだ。たくさんの試練を乗り越えて、ここまで来たのだから。

[女子サッカーライター・砂坂美紀/ツイッター http://twitter.com/sunasaka1]
《NewsCafeコラム》
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