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何がしたいのかが見えない

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衆議院本会議で26日、税と社会保障の一体改革関連8法案が民主、自民、公明、国民新党、たちあがれ日本等の賛成多数で可決された。参議院に送られます。この際、消費税増税に関する採決で、民主党からは、小沢一郎元代表ら57人が反対。欠席、棄権を入れると72人が反対に回り、造反した。民主党は事実上の分裂状態となり、小沢グループの衆議院議員40人程度が小沢元代表に離党届を出し、対応を一任しています。小沢元代表の動向が注目されている。

政府は、少子高齢化に向けた社会保障の全体像を見直すことと、必要な財源を確保するために、「税と社会保障の一体改革」を検討してきた。今年の1月、政府は、「安心で希望と誇りが持てる社会の実現を目指して」と題する素案を発表している。2020年には高齢化率が30%近くに達することが見込まれる中、給付と負担の両面で世代間、世代内の公平性が確保された制度へと改革していく必要がある、ともしている。

もっとも国民の関心が高いのは消費税の増税だ。現行の5%から、2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げるというもの。ただし、景気条項があり、経済状況によっては増税を停止する。私自身は、消費税の増税には、今の所、賛成でも反対でもない。というのも、民主党政権がしたいことが見えてこないからだ。その意味では、現段階では"反対"の立場といえる。

最も肝心なのは。民主党の公約だった「マニフェスト」や政権公約を守れないことへの説明不足がある。民主党は政権交代をして4年間は増税をしないと言ってきた。それが変わる。もちろん、事情は変化して、政権公約を守ればいいというものではないが、できないならできないなりの理由を説明しなければ不満が高まるのは当然だ。

私は消費税を上げるのなら、最低でも負担と給付の意味でも、サービスの質という意味でも、現行の社会保障制度を維持し、さらに質を向上させなければいけないと思う。結果として、社会保障が向上するのなら、増税はやむを得ない。しかし、低所得者がより負担を強いられる消費税の増税は、他の手段を検討してから考えるべきだと思う。これまでも八ツ場ダム建設再開や高速道路の料金見直しなど、マニフェストの目玉を変えてきた。「幼保一元化」をするとして「総合子ども園」を創設する予定だった、盛り込まれていなかった。

こうした"混迷"に乗じて小沢元代表の動向が注目されるようになり、新党結成をあり得る動きを見せている。小沢元代表は自民党時代の1993年6月、当時の野党から提出されていた宮沢内閣不信任案に賛成した。羽田孜議員ら39人も賛成、16人が欠席し、不信任案は可決され、新生党を結成することになり、非自民連立政権の立役者となった。まるで、このときのことを思い出させる動きだといえる。

しかし、小沢元代表にはスキャンダルが持ち上がっている。週刊文春で、小沢不信の手紙が暴露されたのだ。隠し子のことや離婚について書かれているが、筆跡が乱れているために「本当に小沢夫人本人が書いたのか?」という話も流れている。夫人の反応はいまのところないが、この報道をめぐって、小沢元代表への支持、不支持が各週刊誌がにぎわっている。

結局、政治家としての評価は別として、小沢元代表の動きに、日本は左右されるということになるのだろうか。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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