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「電力不足」は現実か?

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何でも後手の民主党政府が、漸く「今年の夏の電力対策」に動き出した。
原発全停止はどうにか避けられるのではないか…と言う希望的な観測が崩れた揚句のドタバタ対応である。相変わらず、本当の数字を明らかにしない全国の電力会社ではあるが、どうやら関西電力以外のエリアは猛暑でもどうにか凌げそうで、関西電力エリアは最悪の場合ピーク時で10%~の電力不足になる可能性が大きい様である。

政府は問題の関西電力エリアの電力不足は、周波数を同じくする西日本の電力4社の電力融通・節電目標への協力お願い・民間の自家発電の強化…でどうにか「電力使用制限令などの強制手段のナシ」で凌げると踏んでいるようだ。
専門家の一部には、関東エリアの半分の経済規模を考えると凌げるのでは…のとの見方もある。

伝統的に「自分さえ良ければ…」の気風の強い関西地区での節電のお願いは実効性が低い。節電令や計画停電で対応すべきであると考えるのは筆者だけだろうか。

去年の今頃、関東地方・東京は節電+計画停電で大騒ぎであった。

・電車の間引き
・運休&駅構内の照明カット
・町のネオンの消灯
・パチンコ屋の営業時間を短縮
・自販機は半減稼動
・プロ野球のナイターの中止
・住宅地の街灯も消える
・企業は土曜日・日曜日深夜の工場稼動
・電力が十分と見られた関西や九州への事務所の開設
・早朝始業の導入
・クールビズ商品や扇風機の購入

これら涙ぐましい努力が行われたのが記憶に新しい。サービス業や医療関係者の努力も特筆される。あの時の、ある種の悲壮感・義務感に比べると、現在の関電&エリアの住人の電力不足状態への対応は「気の抜けたビール」の様な感じがする。

いずれにしろ風力や太陽光が、目の前の電力不足を補えるわけは無く「原発全停止を受けての電力の安定的なベースは火力頼み」となる。

火力は今までは安定的な原発電力の上で「需要に応じて出力を変えて発電するピンチヒッター役」であった。火力発電の稼働率を高め「常時フル稼働」すると故障の可能性も高まる。2月に九州電力新大分火発が緊急停止する事態が発生したが、当時は関電などから緊急の電力融通を受け九州一帯が大規模停電となる危機をかろうじて回避した。日本では突然起こる大停電とその連鎖の経験はないし、広域大停電の復旧のノーハウも確立されていない。政府の曖昧な机上プランは信頼性が低い。

政府は、本来なら供給不足とならない4社に節電目標を課すことで余剰電力を増やし関電への融通電力を積み増して対応したいと考えている様だが、相互融通関係になる電力会社の大型火力発電所の予期せぬ故障など「想定外を折り込んでいるプラン」とは見えない。
また、本来なら電力が足りるエリアに節電目標を課することが出来るのかと言う問題もある。

広域の大規模電力停止の危険性に対応するためのための「法的な制度作り」が必要だと思う。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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