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帰りたいが帰らない

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「3.11 東日本大震災」は、有り体に言えば従来の日本の予知地震学と言う象牙の塔の敗北のモニュメントだ。

"大地震は予知できる"と言うささやかな期待を元に、莫大な国の費用が地震予知につぎ込まれた。つまるところ「地球の内側の事は殆ど判らない」のが現実ということだ。地震学者は自信喪失している。

そこで勢いを増してきたのが「統計学的地震予測&考古学的地震予測」と言うアプローチの一派。予測には確実性が保証できないから、全てを想像できる最大値で考えると言う流派だ。

東京を中心とする首都圏の大地震に関しては年初の研究機関の「マグニチュード7クラス・最大震度7の首都圏直下地震が30年以内に70%の確率でおこる」との予言?には驚いたが、この度の「東京都の首都を襲う巨大地震の被害予想」は地震対応責任がある自治体の発表だけに現実感がある。

内容はすでにご存知の人が多いと思うが、東京湾北部をはじめ4つの震源を想定・最大の被害が予想される東京湾北部が震源の場合で「震度は7・死者は9700人・負傷者は14万人強・建物の全壊は30万戸強・最大避難者は340万人」と見積もっている。

すでに、阪神淡路大震災や関東大震災の事例から見て見立てが甘いといった意見や死者は最低でも4万人出る、との批判が出ている。しかし数字が大きすぎて「ピンとこない」のが実感だ。

3.11では東京は震度5弱で、"大地震の実感"は無かったものの、多くの都民が実感したのが「帰宅難民現象」である。
今回の被害予想では、帰宅困難者はいずれの場合も510万人強。80%が首都圏に自宅、と予測している。

筆者が経験した3.11の「渋谷から池袋を車で6時間・道の両側にあふれる人の群れ」は350万人強だった。東京直下はその1.5倍…しかも被害の中を歩く事になる。想像を絶した事態だ。

専門家は次のように警告している。

「途中でギブアップの帰宅困難者にならないためには勤務先など今いる所に留まることが大前提。帰宅騒ぎは救援活動の妨げにもなる。500万人が一斉に家路を急ぐと「群集渋滞」が発生し『震災パニック』が起こり、大きな二次被害となる」

東京駅で50万人・新宿駅で36万人が滞留し大事になる、とも言う。
個人的には「その場に留まれ」が鉄則としても、大地震と言う事態の中で果たして「理性ある行動」が取れるのだろうか…と心配になる。

「とにもかくにも自宅を目指す⇒45%/会社等にとどまる⇒45%/そのときにならないと判らない⇒10%」と言う調査結果もある。

人間の「帰巣本能」は太古から伝わるDNAだ。よほど脳に言い聞かせておかないと…と感じている。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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