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野球とサッカー

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GWはスポーツ花盛り。その中で野球とサッカーが両巨頭だ。
サッカーは人類有史以来の遊びだが、ルールができたのは1863年。ロンドンで英国サッカー協会(The FA)が設立されルールが制定された。野球は1846年に米国ニューヨークでアレキサンダー・カートライトが今日の原型を作ったと言われる。日本へのサッカー伝来は日本協会によれば1873年イギリス海軍少佐アーチボルト・ダグラスが紹介。野球は1870年代に米国人教師ホレス・ウイルソンによると言われる。ともに150年には満たない。

英国のサッカー、米国の野球だが、日本では野球の方が人気が高い。野球は一高(東大)に導入され、その後日本人の好きな娯楽となった。
初期の早慶戦では騒動がおき、しばらく中止。高校野球(中等野球)も始まりアマ野球が全盛だった。13年にヤンキースを中心とした「世界周遊野球チーム」が来日。ベーブルースの活躍などで人気になった。

その動きに応じて、初のプロチーム「日本運動協会」が設立。36年に現巨人の母体ができ、2年後にプロ野球が始まった。しかし人気は高校野球、東京六大学。戦後はノンプロ都市対抗だった。プロ野球が人気を博したのは53年からのテレビ中継によるとことが大きい。茶の間での野球観戦は老若男女の娯楽となった。それでもメジャーとの格差は歴然。しかし06年、09年のWBCで日本が連覇し世界に名を馳せた。女子はソフトボールで08年北京五輪で金メダルを獲得している。

最近はなでしこジャパンがW杯で優勝し、閑古鳥が鳴いていたなでしこリーグが人気になった。日本に野球と同じ時期に伝道されたサッカーだが、Jリーグと併せても観客動員ではプロ野球に負ける。

戦前、サッカーは大学中心に広がった。世界に日本サッカーの名を馳せたのは1936年のベルリン五輪。大学選手権優勝の早大選手を中心に日本代表を編成。初戦に優勝候補のスエーデンと対戦したが、3-2で逆転勝ちした。大番狂わせで一躍有名に。もっとも準々決勝ではイタリアに0-8で大敗した。その後戦争をはさみ低調。1964年東京五輪に開催国枠で出場。クラマーコーチの指導により、優勝候補のアルゼンチンに勝った。その勢いでメキシコ五輪では3位銅メダルを獲得するもその後は低迷。1998年フランスW杯に出場以来、ベスト16が2回。世界一ではなでしこに先を越されている。

野球は長い間日本人に人気だ。その理由は1896年に遡る。日本の外国人スポーツクラブの頂点だった横浜アスレチッククラブ。そこの野球部に当時日本の王者「一高クラブ」が挑戦を挑んだ。しかし外人チームは日本人を社会的に同等であると受け入れるのを断っていた。再三の挑戦状に1896年ようやく実現。アウェーの一高クラブは体格でも劣り、ホームの楽勝と観客は見守った。しかし結果は「29対4」で日本チームの勝ち。2週間後のリターンマッチは再び「32対9」で返討ちの勝利。この勝利は全国に伝わり、日本人はもはや劣ってないとの証拠とされた。その瞬間から日本人は米国の野球を好きになった(「サッカーで燃える国、野球で儲ける国」)。

発明国を上回ることは、この上ない快感。残るは男子サッカーの五輪かW杯の優勝だ。

[ビハインド・ザ・ゲーム/スポーツライター・鳴門怜央]
《NewsCafeコラム》
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