「アウトレット」疲れ | NewsCafe

「アウトレット」疲れ

経済 ニュース
5月のゴールデンウィークのお手軽定番の一つが、近間のアウトレットでのショッピングだ。
多くのアウトレットは、都心から車で1時間程度の観光地への途中に位置している。専門家は「アウトレットは都心から余り近すぎてはいけない。往復+ショッピング+グルメで一日が使えるリゾート&レジャー感覚が重要である。手軽な非日常感覚が大切なのである」と言う。御殿場・軽井沢・那須…などがそのパターンで「月一でアウトレット」と言う女性も多い。

4月中旬には、東京湾アクアラインの木更津金田出口に近い海沿いに、敷地面積21万5000平方メートルと言う「アウトレット運営の大手・三井不動産が運営するアウトレットモール」の中でも最大規模のものがオープンすると言う。東京、横浜からバスで40分余りという好立地で都心客狙いだが、国際化した羽田空港からもわずか30分とあって「アジアを中心とした海外観光客も狙う」ということである。果たして狙い通り行くのだろうか。

現在 日本には38ヶ所のアウトレットがある。大手は2社で、全体の過半を占めている。不況によって百貨店やショッピングセンターなど商業施設の苦戦が続く中、アウトレットモールは市場規模の拡大が続いている。高級ブランド店の在庫品が格安価格で購入できるお得感に加え、観光地やテーマパークなどに隣接する施設が多いことが付加価値となり人気が定着した。
スーパー業界や電鉄系の参入もある。一見好調な業界だが、最近は幾つかの廃業や撤退もあり、2011年は前年比約2%の成長にとどまったとされる。東日本大震災の影響もあるが「一時の勢いはない」との声も出始めているという。

確かに周りの女性も「アウトレットに寄ろう」と言わなくなった様に思うし、御殿場の賑わいも一時ほどでは…と感じる。
流通業界に詳しい識者は『基本的にはアウトレット業界はここ5年間で全国に8店増え、既存店の大増床もあり、明らかにオーバーストアーである。都心回帰が始まるとの見方もある。問題なのは「本来アウトレットは、アパレルブランドなどが都心の百貨店などで処分できなかった在庫商品を、値引きして販売するのが特徴」だったが、最近は仕入れの合理化で売れ残りも減り、アウトレットに回せる商品が減っているので、「売り場を維持するためにアウトレット向けの専門商品」が作られ始め、中には「5割以上が専用商品」になっている店もある事である。専用品の氾濫が目の肥えた消費者の客離れを招いている。今後さらに出店や増床が続けば、商品不足に拍車がかかり、アウトレット自らのクビを絞める事態にもなりかねない』と危惧している。

アウトレットが「アウトレットたる理由を、自ら放棄するようでは…」である。まさに看板に偽りあり・羊頭狗肉では、目の肥えた消費者をつなぎとめる事はできないのだ。
今年のゴールデンウィークには興奮買いを控えて「じっくり品定め」が上策と思うのである。


[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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