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「縁故採用」と言う現実

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出版社への就職を希望する学生は多く、女性の人気も高い。
その理由は「本が好き」「高給優遇」「安定感」といったところだろう。最大のネックは"人数を採らないこと"だ。大手出版社でも採用人数は概ね5~6人だといわれている。この人数を聞いて諦める学生も多い。

そんな業界の名門・岩波書店は1913年に創業で来年100周年となるリベラルな老舗の出版会社。岩波文庫や雑誌「世界」、国語辞典「広辞苑」や「岩波ホール」などで知られ、社員は約200人だ。同社が平成13年度の定期採用(多分3~4人)に関して「岩波書店から出版した著者の紹介状あるいは社員の紹介があること」を応募条件に掲げ、事実上、縁故採用に限る方針を示した事で騒ぎになっている。

厚労省は「年齢・性別を限定して採用することは雇用対策法や男女雇用機会均等法に抵触するが、縁故採用について明確に規制する法令はない」とした。例により男女雇用均等法の権化の趣のある小宮山厚生労働相は記者会見で『公正な採用・選考に弊害がある、という指摘がある。怪しからん話なので早急に事実関係を把握したい』と述べたが、例によっての口先答弁と思える。

岩波の就職人気は高く、例年、数人の採用に対し1000人以上が応募しているようである。出版不況もあり、採用にかける時間や費用を削減するためにも条件付けをするのはわかる。エントリーシートを出せば…という安易な方法ではなく、入社希望者に「縁故探しの使役と努力を課す」のは選考の方法としてありだと思う。

インターネット上の投稿サイトなどでは「どの会社でもやっていること」「機会の平等を無視している」「採用側が条件にするのはおかしい」などとさまざまな意見が飛び交っている。就職試験の実情を良く知る識者は次ぎように述べる。

『就職試験に公平を求めるほうが変である。就職試験は、つまるところ「自己を差別化し・努力をひけらかす場」。エントリーシートを出し手していれば良いと言うものではない。コネ探しは大昔から就職の暗黙の掟であり、大方の学生はこの現実を知っている。その企業にいる大学の先輩を訪ねるのも「コネ探し」であると思う。「コネ探しは第一次試験」と割り切って取り組むべきである』

コネを探せ…は差別ではなく課題と受け止めるべきなのだ。「そんな酷い事を…」と思うならば、その会社を受けなければ良い。もし就職試験に「完全な公平」を求めるなら「選考は全てくじ引き」と言う会社を志望すればよいと考えるのは少数派だろうか。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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