最終予選シリア戦を終えて…「情けない」 | NewsCafe

最終予選シリア戦を終えて…「情けない」

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5日、ロンドン五輪最終予選シリア戦が行われた。日本は終了間際ロングシュートを決められ1-2で敗北。シリアに総得点数で抜かれ、C組2位に陥落してしまった。
今後の2試合で勝点、得失点差で逆転するか…同点でも得点が上回らなければプレーオフに回ることになる。ロンドン五輪に行けなくなったわけではないが、ハードルは高くなった。

引分けでも優位に立てるこの試合。なぜか最初から日本は引き気味だった。逆に相手は負けると後がないだけに攻め立てた。激しく攻める相手に、日本は負けてはいけないと言う受身の姿勢。それに輪をかけたのが、FW山崎の負傷退場。前線をコントロールする選手がいなくなった。その直後の相手のFK。球は弾丸のように高速でコーナーを目掛けキーパーの前で弾む。それをGK権田が右にそらし先制される。直前に交代したFW大迫に当たりオウンゴールとなった。代わりばなで大迫に十分な心の準備がなかったのだろう。その大迫は前半終了間際に後方からのロングパスを足元に納め、タイミングを取ってゴール前に駆け込むFW永井にパス。それが綺麗に押し込まれ同点となった。うなだれるシリア選手。後半は日本のパス攻撃も見られ押し気味になったがゴールを決められない。そして終了間際シリアの波状攻撃にあい、ボールを拾ったキャップテン・サリハのロングシュートが権田の上をかすめ勝利の一打となった。

失点した2点。GK権田の前に来たボールだけに、「自分の守備範囲だと思っている。それを止めるのが試合に出る選手の責任。何を言われてもしょうがない」とうなだれた。身長187cmの権田は早くから才能を認められ、年間16試合完封など記録も持つ日本代表。A代表・ザッケローニ監督の評価が高い。そのGKがどうしたのか。最初のミスは丁寧に処理しようとしたが、ボールの軌道が変わり手のひらからスルリと抜けた。ボールに対して正面で手、足で防ぐ意識があれば十分対応できただろう。決勝点となったロングシュート。権田の両手の上を抜けて行った。片手で弾いてCKに逃げていたら、事なきを得たはずだ。防げなかったのは、相手のロングキックに準備が出来ていなかったから。スローインからのクリアミス。何とかセンターに戻したが、それを奪ったサリハ。本来そこにいるべき大迫が前線に入り、サリハの前に大きなスペースが出来き、頭で落としいきなりシュートとなった。守りのドタバタが、権田の予測を狂わせたか。しかし2点の1点を防いでいれば、ロンドンは近くなっていた。日本代表で評価の高い選手が、肝心要のときにミスでは情けない。

シーズン前の難しい時期と言うこともあるが、試合前から日本はオドオド…シリアはハツラツ…。さらに果敢な攻めに受身になり、ロングボールの応酬になり、それもキープできなかった。ピッチ状況もあるが、日本本来の力がまるで見えなかった。予選の天王山と言うプレッシャー。何か見えない亡霊に支配され、浮き足だった90分。本来は山村が試合を組立てる役だったが、長い空白は試合感を狂わせた。山崎も消え、日本は司令塔なしの状況に陥っていた。それを認識しなかったベンチの采配は、失格ものだ。交代枠ももう一つあり、時間消化の方法はあった。本来なら信賞必罰で監督交代だろうが次戦へ時間がない。ヨルダンの悲劇として歴史に残らないことを祈るばかりだ。

[ビハインド・ザ・ゲーム/スポーツライター・鳴門怜央]
《NewsCafeコラム》
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