「モチベーション」の真実 | NewsCafe

「モチベーション」の真実

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レイトサマーバケーションも終わり"ビジネスの秋"が始まった。
この時期になるとチームリーダーやマネージャーは「部下のやる気=モチベーション」がやたらと気になり、企業の後期研修でも部下のモチベーションを高めるノウハウなどが伝授される。

この「モチベーション」と言う概念は奥深いものである。過日小売業の勉強会で参考になる話を聞いた。
下記に要約してみたので是非参考にしていただければ幸いだ。

業績がいいからモチベーションが高いのか、モチベーションが高いから業績が良いのか…。
会社が儲かって高い給料を支払えば社員のやる気が出るだろうと多くの経営者は考えるものである。
その結果「社員は会社に利益をもたらすように日々努力しなくてはならない。努力して会社を儲けさせたら自分たちも裕福になれる。ライバルに負けるな、同期に負けるな、出し抜け」といった傾向になる。その為厳しいノルマを設定し、それが功を奏して売上げが伸びるのだ。

しかし、目標達成の為に「お客様の必要のないものを売りつけてしまった」と感じている社員のモチベーションは決して高くならない。そんなことを毎日毎日繰り返していたら、その社員は嫌気がさしてやがて退職してしまうだろう。

それでも会社の業績は良い状態が続く可能性はある。次から次へ社員が入れ替わり定着しなくても売上げが上がっている限り経営は続くからである。しかし、売りつけられたお客様が「やっぱりいらなかった」と感じていればリピーターにはならない。新規顧客を開拓し続けている限り売上げが確保できるかもしれないが、そんな経営が長く持続できるわけがない。

起業後10年持つ会社が10%もないという現実はそういう経営をしている会社がいかに多いかということの証左である。
持続する経営を志すのであればリピーター客や紹介客の存在が不可欠である。
それらを生み出すにはその会社のサービスや商品に満足や感動がなければならない。その状態をつくるためには、お客様と接する社員の気配り、ホスピタリティの能力が求められる。気配り、ホスピタリティは、自分のことしか考えられないモチベーションの低い社員から発出されることはない。

会社のことが好きで、自社の商品に惚れ込んでいてお客様の役に立つことが嬉しくて楽しくて仕方ないというようにモチベーションが高い社員だから実践できるのである。

モチベーションが高ければ高いほど素晴らしいレベルで気配り、ホスピタリティの発揮が繰り返されるのである。その結果、ロイヤルカスタマーに会社は支えられるようになり好業績を長く継続していくことが出来るようになるのだ。


結論は「社員のモチベーションをより高くなるように経営人事の目的を集中させよ」ということである。
そのためには経営者が信頼される事・仕事にやりがいをもたせる事・中間管理職のレベルアップに取り組む事・ 職場の人間関係を高める事・ 企業の将来目標を示す事…が肝要だ。

この話は小売型サービス業向けのものであるが、それ以外のビジネスにも通用するものと思う。
日本企業を取り巻く環境は、まさに「想定外の厳しさ」である。

乗り越える鍵は「社員の高いモチベーション」にあるのである。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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