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ROAD TO Brasil

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吉田麻也の劇的ヘッドで見事に勝ち点3を獲得した日本代表。毎回のことだがつくづくアジア予選は難しいと痛感させえられる。初戦の相手は北朝鮮。南アフリカワールドカップこそグループリーグで敗退したが3次予選で当たるには少々骨が折れる相手であったことは間違いない。

試合直前に本田、今回久しぶりの召集となった中村(憲)の2人が故障により離脱することになったが、選手層の厚い今の日本代表なら大きな問題はない…。戦前はそんな空気が流れていた。故障の本田に代わってトップ下に入ったのは柏木。1月のアジアカップでもまずまずのプレーを見せたことからこの起用は当然だったと思う。

対する北朝鮮はチョン・テセ、リャン・ヨンギ、アン・ヨンハなど日本でもお馴染みの顔ぶれが並ぶ。驚いたのは南アフリカ大会の主力に代わって若手選手が多数召集されていたこと。近年ユースレベルで好成績を収めている勢いそのままに何とも不気味なオーラが感じられた。

予想通り北朝鮮は守備から入った。むやみにプレスはかけず自陣で引いて日本がボールを持つと数人がプレッシャーをかけてくる。当然こういった展開を日本も予想していたはずだがこれをなかなか崩すことができない。

試合後にザッケローニ監督が「北朝鮮の戦い方をほめるべきだ」と言ったようにこの日は相当スペースを探すのに苦労していた。ボールポゼッションは日本が66%。北朝鮮が34%だった。この数字からも分かるように常に主導権を握り攻撃を仕掛けるのは日本だがGKリ・ミョングの好セーブも手伝ってことごとくゴールマウスに嫌われた。

しかし、この試合で日本は今後強みになるであろうあるオプションを試すことができた。それはハーフナー・マイクの投入である。昨シーズンJ2で素質を開花させた194センチの大砲は明らかに他の日本人FWにない武器を持っている。

日本代表の戦術的にロングボールをポンポン放り込むことはしないが、それはこれまでにターゲットになるFWがいなかっただけのこと。実際にハーフナーが入ることによって攻撃が活性化されたのは言うまでもない。この高さには北朝鮮ディフェンスも相当苦労しておりトップに張っているだけも怖い存在になる。

ひとつだけ不安になったのは遠藤が不在のときにどうするか。ボランチには阿部、細貝など優秀なプレーヤーが揃うが遠藤ほどのクオリティを持ったボランチは今の日本にはいない。派手さはないがその実力は間違いなく世界クラス。韓国戦では家長を試したがもともと家長はボランチで活きるタイプではない。ザッケローニも一番悩んでいるのは遠藤が不在の時かも知れない。

話を試合に戻す。今回は最後までゴールを信じたからこその勝利である。引き分けでなく勝ちきったことでチームは更に上昇するだろう。この試合を見て1年以上無敗を続ける理由が分かった人は多いはずだ。次はアウェーのウズベキスタン。ここからは実力はもとより厳しいアウェー環境が最大の敵となることもありうる。しかしブラジルを目指すチームが3次予選でモタつくわけにはいかない。アジア王者として堂々たる戦いを期待したい。
《NewsCafeコラム》
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