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「アフター地デジ」と言う現実

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20世紀はテレビが王者の時代と言われていた。
その永年慣れ親しんだ(地上波)アナログテレビが7月24日で終了。慌ててデジタルテレビを購入したり、アンテナ工事が間に合わなかったり、正午のお知らせを楽しみにしていたらデジアナ変換で何の変化も無くガッカリさせられたり…悲喜こもごもの切り替え劇であった。

数十万人と言われる地デジ難民やFMラジオでテレビの音声を聞いていた視覚障害者を切り捨て多くの家庭に10万円~30万円の支出を強いた地デジ時代の強引な幕開けである。当座は「デジタルで画面が綺麗・電子番組表で番組探しや録画が簡単」と喜んでいたが変ったのはチャンネル番号だけ。お粗末な番組は変わらない現実に「??」と思う方も多いようだ。

最近某民放テレビ局を「韓流番組が幅を利かせる韓国テレビ局」と揶揄した俳優がいて大騒ぎになっているが地デジになったら番組の質が変わる訳ではない。相変わらずお笑い・安手のドラマ・古手のタレントの旅&グルメ番組・通販番組が幅を利かせており、今の民放の番組には観るべきものが少ないという意見が多い。

"地デジ切り替えを契機にテレビとお別れ"という人が出るのも致し方ない。事実、一日あたりのテレビ視聴時間はネットアクセス時間に逆転されているし、6月の調査ではテレビのセットインユースが全日で40%を切った、との事だ。テレビ受像機はあるが60%の家庭でテレビのスイッチが入っていないと言う驚愕の結果である。識者は「テレビ局は地デジで国民に多額の負担を強いたのだからテレビ番組を面白くする責任があるが、その責任を果たす気配が無い。

「地デジ、地デジ」と騒いでいるが、いまやテレビはPCや携帯電話でも見る事ができる時代。テレビの生命線であるニュースで言えば"ネットや携帯サイトでまずチェック"といった傾向は強まりつつあるのが現状だ。識者は都市居住者の情報アクセスを「刻々と変わるニュースは携帯ニュースサイトやPCでチェック・テレビで見るのは定時のNHKのニュース&ドキュメントが中心・たりない部分は民放BS局の24時間ニュース&解説とスポーツ中継で補填・CS局の映画・歴史・自然ドキュメントで教養を深める」のがパターンだと述べる。

また、テレビ視点でみても「来年の4月にはBSテレビ局が26局」となり、CSテレビ局はすでに300局余りが衛星からの放送を行っている。地デジだけがテレビではないのである。近年は「テレビ受像機の中でテレビ番組とネット情報を融合させる」と言う試みも始まっている。

地上波テレビが情報と娯楽の王様の時代は、皮肉にも地デジ切り替えと共に幕を閉じたと言えるだろう。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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