[第9回] 出会いカフェ殺人(後半)「自殺か、刑務所か」で迷い… | NewsCafe

[第9回] 出会いカフェ殺人(後半)「自殺か、刑務所か」で迷い…

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犯行後に自首をするが、自首を勧めたのもこの知人男性です。

被告は、「自殺をするか、刑務所に行くか」を迷いながら、知人男性に電話をします。

検察官が示した供述調書によりますと、26日午後5時ごろ、被告は知人男性に電話をします。午後6時ごろ、2人は渋谷で落ち合います。そこで以下のようなやりとりがされたといいます。



知人男性「どうした?」

紺野「これでお別れなので、お礼を言いたい。このまま生きていても迷惑をかける」

知人男性「もしかして、池袋の事件と関係しているんじゃ?」

紺野「そうなんです」

知人男性「どういう事件だ?」

紺野「イライラしていたので、出会いカフェに行った。3万円でいいよと言われたのでホテルに行った。そこで財布から7万円を抜き取られた」(*「7万円」は聞き間違い、と、法廷で紺野が証言。実際には1万円)

知人男性「殺したのか?」

紺野「はい」

知人男性「どうやって?」

紺野「押さえつけて、首を絞めた。もうこれ以上、生きても迷惑をかける。自殺することに決めました。死ぬしかない」

知人男性「お前いくつだ?お前の人生はまだ残っているんだ」

知人男性「(不眠が続き、自傷行為もしていたため)お前がやったんじゃなく、病気がそうさせたんだ(などと、自首を促す)」

紺野「分かりました。一緒に行ってくれますか?」



「無縁社会」と言われる昨今ですが、県は違うものの、同じ東北出身ということで意気投合したことをきっかけにした2人の付き合いは、事件を通じて、より強固になっていくように感じます。



一方、出会いカフェでの殺人事件は、この事件が初めてです。

出会いカフェという形態が出て来たのは5年以上にも前になるでしょうか。当初は、出会いカフェに女子高生が出入りしていました。そのため、「援助交際」の温床になると社会問題になっていたのです。

池袋や横浜では摘発されたケースも出てきました。そのため、出会いカフェに18歳未満が入店できないよう、青少年条例で定められた自治体もあります。



いわゆる「出会い系」の場所でもあります。インターネットの「出会い系」の場合は、いわゆる「出会い系サイト規制法」があり、現在は、公安委員会の登録が必要になっています。

一方、出会いカフェは、規制は自治体によって異なるために統一基準はありません。



ちなみに、出会い系サイトで初めて殺人事件が起きたのは、2001年5月です。

京都在住の男が、女子大生を殺害しました。このときも援助交際のトラブルでした。その後、男は女子大生殺害を告白後にOLを殺害します。

出会いメディアはこれまでも、文通、雑誌の投稿欄、パソコン通信、インターネットの出会い、といった変遷をしてきました。

こうした出会いメディアは当初、流行に敏感で、遊びにも慣れているような人たちが集まります。

こうした人たちだけのコミュニティでは、トラブルがあっても、それなりに決定的なことを回避してきました。

しかし、流行し、浸透していくと、遊び慣れていない人たちも参入してきます。

そんな時にトラブルが起きると、犯罪に関連してしまうこともあるのです。



被告の証言によると、トラブルのきっかけは、財布にあったはずの1万円を取られたと思ったことでした。そして、こんなやりとりがあったといいます。



紺野「お金、抜いてないよね?」

女子大生「抜いてないよ、ないの?」

紺野「正直に言ってよ」

女子大生「本当に抜いてないし、感じ悪い。警察に行ってもいい」

紺野「困るのはそっちなんじゃないの?」

女子大生「ホテルに無理矢理、連れ込まれたことにする」

紺野「そんなの違うだろ」

女子大生「私は、あなたの部屋を知っている。店の男が追い詰めることができる」

紺野「目標金額(女子大生の今日の目標金額5万円)は達成した。それで十分なんじゃないの?」

女子大生「そんなんじゃ足りない。また来週会うから、貸してほしい」



亡くなった女子大生は、検察官が読み上げた遺族の供述調書や、姉の証言、母親の最終陳述を聞くと、どこにでもいるような女子大生です。

ただ、父親が転職したのをきっかけに、家計が苦しくなります。

そのため、女子大生はアルバイトをしていました。お金を稼ぐ手段の一つが出会いカフェだったのです。



将来の夢は、自分でファッションのブランドを立ち上げることだったようです。

大学でも服飾の勉強をしていたのです。母親は、娘が大学3年の時、「知らない男の人と話をするとお金がもらえる」と聞いていたと言います。



母「大丈夫なの?」

娘「バカなことはしないから。それにコネができるかもしれない」



こんなやりとりがあったようです。そして、母親はこう言いました。



「家が貧しかったからと思うと、申し訳ない。本当にごめん。会いたいです。会って謝りたいです」



父親は法廷には現れませんでしたが、「転職しなければよかった」と後悔し、自分を責め続け、人と会うのを避けるようになったと言います。



その日、「誰かと話したい」と思った紺野被告と、「お小遣いをもらわずに、必要なお金は自分で稼いでいた」という女子大生。

こんな出会いは、「出会い系メディア」ではよくあることです。しかし、歯車が狂ったかのように、殺人事件となってしまったのは、両者にとっても不幸です。(終わり)
《NewsCafeコラム》
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