野田総理誕生…「児童買春・児童ポルノ処罰法」のゆくえは | NewsCafe

野田総理誕生…「児童買春・児童ポルノ処罰法」のゆくえは

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29日に民主党の代表選挙があり、野田佳彦氏が新代表に選ばれました。5人が立候補した代表選挙でしたが第一回の投票では決着がつかず、海江田万里氏と野田氏との決選投票に。その結果、順位が逆転。野田氏が215票、海江田氏が177票で、野田氏の当選が決まりました。政局としては、小沢氏の復権にノーを示したと言えるのでしょう。しかし、政策の行方は不透明です。

その不透明な政策の中で、インターネット・ユーザーにとって、最も大きな影響を与える議論としては、「児童買春・児童ポルノ処罰法」の改正問題があげられるでしょう。この法律の中で、特に「児童ポルノ」に関する規定を変えようとする動きがあります。これまで多くの議論を費やしてきましたが、果たして、どのように話が向かっていくのでしょうか。

一つは「単純所持の禁止」があげられます。つまり、児童ポルノを持っていただけで処罰の対象になるという規定を盛り込むかどうかが焦点です。09年に与党だった自民・公明の案に民主がのっかり、「単純所持の禁止」でほぼ合意しました。自民、民主の各党内でも反対意見がありましたが、衆院解散で廃案になりました。

自公案は単純所持を全般的に禁止しています。しかし、民主案は「単純所持の禁止」のうち、以前は、禁止対象として「有償または反復の取得」にしていましたが、今回は「有償かつ反復の取得」として、違法の範囲を狭めました。

何をもって、禁止すべき「単純所持」とするのかは難しい問題です。児童ポルノの所持が規制の対象になるのは、法ができる1999年です。それ以前に取得した写真集などを保管していた場合はどうなるのか。また、いたずらメールで送られて来た児童ポルノを削除していなかった場合はどうか。ポルノの被写体が「児童に見える」が、判別がしにくい場合はどうか。たまたま見てしまったサイトに児童ポルノ画像があった場合、パソコンなどにはキャッシュ(残像)が残るが、そのキャッシュを消していない場合はどうなるのか。それらを捜査機関が正当の評価できるのかどうかといった問題があり、民主は、これらを含め「捜査権の乱用」を懸念したのです。

もう一つは、漫画やアニメ等の創作物を規制対象とするかです。自公案では、規制の必要性について調査・研究をすることを盛り込んでいる。一方、民主案では、法適用外と明文化しています。

8月25日、「児童ポルノ禁止法改正を考える院内集会」が参議院議員会館で開かれました。その中で、上智大学の田島泰彦教授(メディア論)は民主案を評価しつつも、これまで問題とされてきた、いわゆる「3号ポルノ」について、「児童ポルノ」の範囲が広すぎることを問題にあげました。

禁止される「児童ポルノ」は、現在の法律では、児童を相手方とする又は性交、又は性類似行為に係る児童の姿態、他人が児童の性器等を触れる行為又は児童が他人の性器等を触れる児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの、衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの、となっています。

このが「3号ポルノ」と呼ばれ、定義が主観的すぎるとして、田島教授は「問題だ」と指摘しているのです。

この法律に関心がある人の多くは、性的搾取、性的虐待としての児童ポルノはなくしたいと思っていることでしょう。私もそう思っていますが、児童ポルノをなくすために、捜査権が乱用され、過度な権利侵害がされるのもよくないと思っています。漫画やアニメなどの創作物規制となれば、表現の自由を制限します。一義的には子どもの性的虐待や性的搾取をなくすことがこの法律の趣旨のはずです。

この法律の制定に関与し、弁護士で、虐待を受けた子どものシェルター・カリヨン子どもセンター理事長の坪井節子さんは「タイやフィリピンなどでの、児童強姦の聴取をし、加害者を日本の法律で裁くことを目的にしていた」と法制定の目的を述べました。その上で、性的虐待を受けた子どもの医療的、心理的なケアが必要と述べ、日本の子どもの保護のお粗末さを指摘していました。

性的搾取、性的被害を受けた子どもたちのケアをどうするのか、という問題は一刻を争います。坪井さんは警察の取り調べは「セカンドレイプ」だと指摘しています。思い出したくないことを何度も繰り返し聞く警察のやり方を批判しています。そのため、警察ではなく、専門家が話を聞き、別室から警察が様子を見て、質問をするといった「司法面接制度」の導入を提案しています。

「児童ポルノ」をめぐり、創作物を規制するか否かという議論は、法制定時からあり、未だに解決を見ません。それだけ大切な議論であり、簡単に結論を出せないことでもあります。そのため、被害を受けた子どもたちの具体的にケアをする仕組みづくりを先行していくべきではないでしょうか。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://foomii.com/mobile/00022)を配信中]
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