山田裕貴、松本潤に救われた“唯一の相談” 台本超えた瞬間とは「役を生きることができた」<「どうする家康」インタビュー後編> | NewsCafe

山田裕貴、松本潤に救われた“唯一の相談” 台本超えた瞬間とは「役を生きることができた」<「どうする家康」インタビュー後編>

芸能 モデルプレス/ent/wide/show3
山田裕貴「どうする家康」(C)NHK
【モデルプレス=2023/11/19】現在放送中の嵐・松本潤が主演を務めるNHK大河ドラマ「どうする家康」(総合テレビ、毎週日曜午後8時~/BSプレミアム・BS4K、毎週日曜午後6時~/BS4K、毎週日曜午後0時15分~)に出演する俳優の山田裕貴(やまだ・ゆうき/33)が、モデルプレスのインタビューに応じた。彼が、“殿”と呼び、親しみとリスペクトを持つ座長・松本に救われたこと、台本を超え役を生きたと感じた瞬間とは――。<後編>

【写真】山田裕貴、変わり果てたヒゲ姿

◆松本潤「どうする家康」

本作は希代のストーリーテラー・古沢良太氏が新たな視点で徳川家康(松本)の生涯を描いた波乱万丈のエンターテインメント作品。

山田は家康の家臣団のひとり、“戦国最強武将”・本多忠勝(ほんだ・ただかつ)を演じる。

◆松本潤に救われた行動「やっと頼ってくれた」

― 普段から和気あいあいとした撮影現場だとお聞きしましたが、「関ヶ原の戦い」に向けて現場の雰囲気に変化はありましたか?

山田:「関ヶ原の戦い」は第1回から出演している家臣団が僕だけで、他は新しく入られたキャストさんや元豊臣方の武将の方たちだったので寂しかったです(笑)。殿(家康/松本)と一緒に「違うドラマみたいだね」と話していました。それこそ、殿も先輩の方が相談しやすいと思うので本当に申し訳なく、「ちゃんと力になれてるのかな?」とずっとどこか不安も感じていたのですが、1回だけ「この言い方さ、もっとこう言った方がいいかな?」と聞いてくださったことがあったんです。そのときは「本当に良かった。やっと頼ってくれた…!」と救われました。「ようやく聞いてくれた!」とすごく嬉しかったことを覚えています。

― 山田さんから見た松本さんとの関係性は?

山田:一概にはいえないのですが、ただ自分の中で決めていたことは“殿に何かあったら寄り添っていよう”ということ。それこそ何か聞かれたなら真剣に考えて答えようと、本当に家康と平八郎のような関係性で現場にいました。

◆山田裕貴、逆の発想から生まれた家康(松本潤)だけへの行動

― 家康に対し平八郎は「主と認めない」ところから始まり、最終的に「命に変えても守る」と心情が大きく変化しています。セリフでの心情の説明がなかなかされないということもおっしゃっていましたが、山田さんはどのように気持ちを盛り上げていったのですか?

山田:種明かしをすると、第2回の大樹寺で殿が切腹しようとしたとき、覚醒した殿の目を見て忠勝が1歩だけ後ろに下がっているんです。映像で足のアップが映るわけでもなく、本当にちょっとした動きなのですが、台本には書かれておらず、僕が演出の方に話していたことなんです。その後、殿が門を開けて出ていくときのセリフでも「この人すごい」という思いから1歩下がっていました。以降、たとえ織田信長や武田信玄が来ても、絶対に1歩下がる行為はやめようと決めました。忠勝は「俺のことを1歩でも退かせたのはこの男しかいない」と考えているのではないか。そんな話をずっとしていた結果、第44回で小平太からの「いつから認めていたんじゃ?」という問いに対して「大樹寺」と答える場面に繋がります。それは自分が演じてきた忠勝の想いが、最後の最後に伝わった瞬間だなと思いました。徐々に(殿を認めていった)と思わせといて、実は既に認めていたという逆の発想の方が面白いかなと考えてやりました。

◆山田裕貴、台本を超えた瞬間とは

― 「俺は認めん」というセリフのお話が出てきましたが、第1回でも山田さんがアドリブで言ったセリフだった?

山田:そうなんです。最後に家臣団が殿に「どうする!?」と詰め寄るシーンで僕が発した「俺は認めん」に関してはカットがかからなくてつい言いたくなって言いました。そしたら、それが使われていて殿やみんなからも「狙ってたんでしょ?」と言われたのですが(笑)、何も計算なく自然と出てきました。そういうときに「僕はちゃんと役を生きられているんだ」と強く感じます。カットがかからないから言ったのではなく、“カットがかからない間になんか言いたくなった”という感覚が台本を超えられた瞬間だと思います。“台本に書かれたことをやる”までは僕の中では“お芝居している”感覚ですが、台本を超えた瞬間から、ようやく役を生きることができたと感じられます。

― 長い間、1つの役を演じることの面白さや難しさはありましたか?

山田:正直、長い間1つの役を演じた経験は何回かあるので難しさは感じないですが、その間に他の仕事が並行して入っていることがあるじゃないですか?違う作品のことも頭に入れながら、日によって切り替えていく難しさはすごくあります。

逆に期間の長さ関係なく、その役を生きられる瞬間が出てきたり、思ったこともなかった感情なったりする瞬間があると面白いと思います。

◆本多忠勝役に自信を持てたきっかけ・役を生きたと感じたこと

― 第44回までを振り返り、改めて山田さんが描きたい本多忠勝像はどういうものだったのでしょうか?

山田:まず前提として、「過去の歴史なんて誰もその目で見てないから分かるわけない」と考えているので歴史上の人物を見るときの決めつけがあまり好きではありません。最初の頃はどうしても今まで他の方が演じられてきた本多忠勝像や肖像画に残っている強そうな印象でイメージが固まってしまうじゃないですか?きっとみなさんも歴史上の武将たちに対して何かしらのイメージを持っていて、それがずれると「そういう人がやればいいのに」「そういう人じゃなさそうに見える」とガッカリされますが、それってすごく残念だと思います。なら、大河ドラマをやっている意味がなくなってしまうし、“「どうする家康」はこういう解釈です”を楽しんでもらうことが大河ドラマだと考えます。

実は撮影最初の頃、岡崎の武将隊の方が記念館を案内してくださったのですが、本多忠勝の肖像画は本人が8回描き直させているという話をお聞きして「もしかしたら山田さんみたいにすらっとした人だったのかもしれませんね」というように言っていただいたとき、僕も勝手なイメージを持っていて自分が選ばれた理由が分からなかったので、本多忠勝を演じることに自信が持てました。やっぱり歴史って分からないですし、持っているイメージは誰かが考えた空想でしかない。「人の気持ちもその人のことを見つめているだけでは分からないし体感した人しか分からないよな」「疑似的だけど体感できるのは僕だけだよな」と思い、僕がやりたい忠勝ができたらいいなという気持ちでした。

では「僕がやりたい忠勝ってなんだろう?」と考えたとき、人の想いをちゃんと背負える人、一番柔軟で繊細で人の心を受け止められる人、殿が悲しかったら同じように悲しいし、苦しかったら同じように苦しくなる人。今までの忠勝のイメージだったら無骨にまっすぐな人で、僕もそういう演じ方をしたと思います。けれど内面は全然違って、「わしが強くいなければ殿はダメかもしれん」という想いで強く立っています。

― 特に印象深かったシーンは?

山田:1つは、第2回の大樹寺で殿を前にして1歩引き下がり、僕の中で殿を認めた瞬間です。また、叔父上(本多忠真)とのシーンは演技プランを提案し合って、忠真役の波岡(一喜)さんに「殴ってほしいです」「それを最初で最後の傷にしたいです」とお願いして、そういうくだりを増やしてもらいました。その後、本番当日の段取りテストで波岡さんが忠勝を抱きしめるという台本にない行動を増やされていて、そのとき不思議なことに、自分が演じていない幼少期の思い出の映像が頭の中に流れ込んできた感覚になったというか、見えたんですよ。やっぱりそれは役を生きていないと達することができなかったことですし、僕は忠勝さんが見せてくれたものだと思っています。

― 貴重なお話をありがとうございました。

(modelpress編集部)

◆山田裕貴(やまだ・ゆうき)プロフィール

1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年、テレビ朝日系「海賊戦隊ゴーカイジャー」で俳優デビュー。2022年、エランドール賞新人賞を受賞。主な出演作に「HiGH&LOW」シリーズ(16~19)、「燃えよ剣」(21)、「余命10年」(22)、「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー」(22)、「耳をすませば」(22)、「夜、鳥たちが啼く」(22)、「ブラックナイトパレード」(22)、「女神の教室~リーガル青春白書~」(23)、「ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と」(23)、「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-/-決戦-」(23)、「キングダム 運命の炎」など。映画「ゴジラ-1.0」が現在公開中。

◆「どうする家康」第45回あらすじ

関ヶ原で敗れ、牢人となった武士が豊臣のもとに集結していた。憂慮した家康(松本潤)は、秀頼(作間龍斗)を二条城に呼び、豊臣が徳川に従うことを認めさせようとする。

しかし、初めて世間に姿を見せた秀頼の麗しさに人々は熱狂。脅威を感じた家康は、秀忠(森崎ウィン)の世に憂いを残さぬためにも、自らの手で豊臣との問題を解決しようとする。

そんな中、豊臣が大仏を再建した方広寺の鐘に刻まれた文言が、大きな火種になる。

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《モデルプレス》

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