「支持率」の法則 | NewsCafe

「支持率」の法則

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「支持率を気にしないで増税路線を」
そんなことを予感させる野田新内閣がスタートした。

メディアは早速、恒例の内閣支持率の調査を行っている。まだ何もしていない内閣の支持率を調べて意味があるのか…と思うが、メディアにとっては"わが社の存在理由を示す行為"。それぞれの媒体が自らの旗幟を明らかにせず「世論調査によれば…」を習いとする。欧米のメディアが政党支持を含め、自らの意見や判断を明確にするのと異なり、言い方を悪くすれば「多少ずるいやり方」である。
この世論調査は、スピードとコストの兼ね合いで電話を使って行われるのが殆ど。電話調査の主流はコンピューターに電話番号をランダム生成させて電話をかけ、応答した場合に調査をお願いする"RDD方式"と呼ばれるものだ。
サンプルは3000程度。有効回答は1500程度である。国勢調査での人口比に沿ったサンプル数を得るまで電話しまくるという方式なので、偏りは出ない筈だが、固定電話が無い所帯(主に若い世帯)は除外・サンプル数が少ない・質問が誘導的…などRDD方式の調査を問題視する識者も多い。

問題の多い調査方法であるが、今回の野田内閣の発足を受けた新聞社・TV局・通信社の調査では「野田内閣の支持率は一番低いA新聞の調査で53%~一番高いFテレビで70%に分布し、政党支持率は逆転し、民主党がわずかながら自民党支持を上回っている」と言う結果だ。菅内閣の最後の内閣支持率が10%台だったことを考えるとチェンジ効果は出ていると言えるだろう。

多くの場合、内閣発足後を頂点に、支持率は右肩下がりになる。経験則でいえば「内閣支持率+政党支持率=50%以下」になると、首相は政権を維持できなくなり退陣にいたるケースが多い。菅政権でも7月に「内閣支持率19%+政党支持率25%=44%」で退陣となった。逆に「この2つの支持率の合計が100%以上あれば政権は安泰で、総選挙で勝利できる」と言われている。

問題のある世論調査であるが、多くの政権がこの結果に一喜一憂するのには一理がある。
菅政権でもスタート時の内閣支持率+政党支持率は115%あったが、最後は44%。世論頼みのスタンドプレー政治は、最後は世論で沈む、という。この迎合政治の末路を見てきた野田首相が「支持率を気にしない」と宣言したのは理解できる。

多くの国民はここの所の"年替わり首相"には辟易とし、少しは落ち着いた政治を望んでいる。政府に実効力があれば支持率は上がるし、国民の期待を裏切れば支持率は下がる…この微妙な間合いに新内閣はあるのだ。

[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》
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