全編モノクロ撮影の裏側…綾野剛主演『星と月は天の穴』メイキング写真 | NewsCafe

全編モノクロ撮影の裏側…綾野剛主演『星と月は天の穴』メイキング写真

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『星と月は天の穴』©️ 2025「星と月は天の穴」製作委員会
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日本映画界を代表する脚本家・荒井晴彦が監督を務めた、綾野剛主演最新作『星と月は天の穴』よりメイキング写真が解禁された。

荒井晴彦監督が長年の念願だった吉行淳之介原作を映画化した本作。過去の離婚経験から女を愛することを恐れる一方、愛されたい願望をこじらせる40代小説家の日常を、エロティシズムとペーソスを織り交ぜながら綴る。

この度、荒井組の撮影現場風景をとらえたメイキング写真6点が解禁。

吉行淳之介の原作小説は1966年に上梓されている。当時10代だった荒井監督は主人公・矢添の心情と“男の性(さが)”にシンパシーを抱き、映画の仕事を始めて以来「いつか映画化したい」と思い続けてきたという。

本作のプロデューサーの1人、清水真由美氏は「監督は『昭和40年代の小説だから古いかな』とおっしゃったんですけど、主人公の男は愛を拗らせ、逆にヒロインはそんな男にヅケヅケと踏み込んでいく。むしろすごく今っぽいと思いました」と原作の印象を語っている。

荒井監督は当初、時代設定を現代に移して書いてみたそうだが、原作当時の価値観やシチュエーション、セリフも「今」とそぐわず、物語そのものが成立しなくなると判断。時代を、(原作が書かれた)1966年に戻そうとしたが、『星と月は天の穴』というタイトルにオチを付けたかったこともあり、アポロ11号が月面着陸した1969年に設定、他は原作に忠実に描かれている。

本作は、その1969年という時代の空気や質感をスクリーンに転写したいという監督の意図から全編モノクロで撮影。濃淡と陰影によって組成された画面は、単にノスタルジックなだけでなく、活字から文脈を読み取るごとく余白の美も映し出している。

時折現れるパートカラーの赤は、吉行淳之介原作の映画『砂の上の植物群』へのオマージュ的な意図も含まれているのだという。矢添の愛車BMW2002シリーズは吉行が実際に乗っていた車種である。車のみならず信号機なども昭和年代のものが稼働している地域まで素材を撮りに行くなど、ディテールへのこだわりは徹底している。

綾野が着用している衣装も、吉行が当時着用していたジャケットに近い生地で仕立て、当時のデザインを再現。部屋のレイアウトも69年ごろ吉行が暮らしていた住居の間取りを参考に家具を配置するなど時代性が意識されている。

しかし一番難航したのは、矢添が住んでいる部屋のロケーションだったという。矢添の部屋の書斎の窓からブランコが設置された小さな公園が見える。ところがこの眺めを抱いた建物がなかなか見つからない。昭和の雰囲気があり、座ったまま窓から公園が見える部屋を探しても、公園には現代的な遊具が置かれているところが多く、荒井監督はマンションと公園をそれぞれ撮り分けることも考えたという。

しかし助監督ら荒井組のスタッフが執念で遂に理想の部屋を発見、台本に忠実なシチュエーションを実現させた。そんな情熱に溢れた撮影現場。

矢添を演じた主演の綾野剛は『花腐し』につづき2度目とあって、荒井監督との信頼関係も強固に。また、オーディションで“発見”された紀子役の咲耶も笑顔が弾けており、“荒井組”のチームワークの良さ、映画への真剣なこだわりが伝わってくる写真の数々となっている。

クラシカルな世界に新しさも垣間見える、本作の雰囲気が伝わって来る。

『星と月は天の穴』は12月19日(金)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》

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