事故後の夫婦、本で伝える=「身近な人見つめて」―夫は重傷、妻は心の病・JR脱線 | NewsCafe

事故後の夫婦、本で伝える=「身近な人見つめて」―夫は重傷、妻は心の病・JR脱線

社会 時事通信社/NEW_SOC/SOCIETY
 JR福知山線脱線事故で、最も犠牲者の多かった2両目で重傷を負った小椋聡さん(49)は昨年秋、妻朋子さん(50)と共に、事故で一変した夫婦の人生をつづった本「ふたつの鼓動」を出版した。2人で懸命に歩んだ日々が記され、聡さんは「苦しみ続ける人たちに読んでもらい、身近にいる人を見つめるきっかけになれば」と話している。
 14年前、大阪へ向かう通勤電車に乗っていた聡さん。いつもと違う揺れを感じた直後、体が吹き飛ばされた。右足骨折と全身打撲の重傷を負い、事故後はむち打ちの症状に苦しめられた。
 後遺症と闘う中、被害者の会に参加し、事故で大切な人を亡くした遺族の姿に触れた。命を拾った者として、犠牲者の乗車位置を調べる活動に奔走。朋子さんも行動を共にした。
 しかし、朋子さんは事故に向き合い続けた結果、心の病に。食欲もなくなり体重は30キロ台まで激減。聡さんは「一人にしておけない」と会社を辞め、フリーのイラストレーターになった。山間部の兵庫県多可町に移住し、朋子さんの病状も快方に向かった。
 事故から10年以上がたち、互いに支え合った歩みを書き残そうと考えた聡さん。完成した本は約160ページに及び、「このぐらいの量じゃないと伝わらなかった」と話す。事故の瞬間や遺族との触れ合いなどを夫婦それぞれの視点で記し、これまで報じられなかったJR西日本の職員との交流や示談の経緯も盛り込んだ。
 出版を終え「すっきりした」と語る2人は、新たな生活に踏み出している。本業の傍ら、同町への移住者らを支援する活動に携わり、自宅を活用した民泊も始めた。
 気掛かりなのは事故車両の扱いだ。聡さんは「時機が来れば、人の目に触れる形で活用してほしい。車両はぐしゃぐしゃで、中に人がいたと思うと苦しくなるが、それが事故だと分かってほしい」と公開を望んでいる。 
《時事通信社》

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