「乳首をなめられた」訴えられた医師に無罪判決、“20人に1人”に起こる「せん妄」の予防法 | NewsCafe

「乳首をなめられた」訴えられた医師に無罪判決、“20人に1人”に起こる「せん妄」の予防法

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「乳首をなめられた」訴えられた医師に無罪判決、“20人に1人”に起こる「せん妄」の予防法

 手術後の女性の胸をなめたとして医師が訴えられた裁判で、女性が「せん妄」状態だったとして医師に無罪判決が言い渡された。誰にでも起きる可能性があるせん妄とは。


 「100日以上、警察もしくは拘置所で身体を拘束され、社会的な信用を失い、職を失い、大変な思いをしました」


 男性医師は2016年、都内の病院で乳がんの手術をした30代の女性患者に対し、全身麻酔の影響で意識が朦朧としているなか胸をなめるなどした罪に問われていた。しかし、東京地裁は20日、男性に無罪判決を言い渡した。

 裁判で争われたのは、被害を訴えた女性の証言の信用性とDNA型鑑定の結果をどうみるか。女性は手術後、医師と2人きりになった時に乳首をなめられ、医師は自慰行為に及んでいたと訴えていた。一方の弁護側は、当時4人部屋は満床で、看護師も出入りしており、カーテンのすぐそばには女性の家族もいたことから犯行は不可能と主張。判決では、女性がせん妄の状態、つまり麻酔から覚める際に性的な幻覚を体験していた可能性もあるとして、その証言の信用性に疑問があるとした。


 そもそも、せん妄とはどのようなものなのか。せん妄を研究する国立がん研究センターの小川朝生医師は次のように話す。

 「入院中の2割から3割に出現する精神症状。幻視・幻覚・妄想というのも(せん妄のうちの)3割から5割くらいで出る。乳腺に関する手術は術後のせん妄に関する調査があり、比較的(せん妄の)割合が高いという印象。手術後の痛みが強い、コントロールが難しいとせん妄を悪化、長引かせることが知られている」

 イギリスの麻酔雑誌に掲載された論文によると、1359例の成人患者(15~99歳)を対象に行った調査で、せん妄を発症したのは64例(4.7%)。統計学的にせん妄の危険因子となるのは(1)術前のベンゾジアゼピン(麻酔)投与、(2)乳房手術、(3)腹部手術、(4)長時間手術で、年齢的な有意差はないという。


 しかし、女性はせん妄状態ではなかったと主張。判決について、男性医師の代理人・趙誠峰弁護士は「両方が被害者」との見方を示す。

 「彼女が体験したせん妄下の出来事は麻酔の副作用かもしれないが、(彼女は)医学的なせん妄の被害者。一方で被告人になった外科医の方は、自分がやっていないことで身体拘束・刑事訴追されるという冤罪の被害者と考えていた。彼女がウソつきだとか、わざとウソをついているとは全く考えていない。せん妄下で、彼女の中ではまさに現実に体験したことを話していると思った。今回のようなケースは海外でも報告されている」

 また、東京都の医師の団体・東京保険医協会は「患者さんの診療や手術をした後にこんなことに巻き込まれるかもしれない、いつ警察に逮捕されるかということになれば、医療をやっていられますか」と訴えた。


 裁判のもう1つの争点は、女性の胸から男性医師のDNAが検出されたことに関する評価だ。検察側は男性医師が女性の胸をなめた証拠としていたが、判決では、会話の際に飛んだ唾液が付着した可能性や触診の際に付着した可能性もあるとした。

 この判決について、女性側の弁護士は「なめられた部分は証拠だから、気持ち悪いけど証拠だからと被害者がずっととっておいた部分を調べてもらったらDNAが出た。これが客観的証拠」「こんなに細部も荒いというか雑というか、誤った認定を見たことがなくて、心の底から驚いている」と主張。女性側は検察に控訴するよう訴えている。


 小川医師によれば、せん妄は痛みをコントロールすることや症状を知ることで予防につながるという。過去に首を骨折しアメリカで大手術を受けたというアーサー・ホーランド牧師は「麻酔を打つ時に、副作用のみならずいろいろな説明を受けた。手術が終わったら目が覚めて、僕はすごく気持ちが良かったという経験があるが、せん妄に関する知識がない人がほとんどだと思う。知識が広がるべきだし、医者側の説明も必要だと思う」と述べた。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)


厚労省が公開した“せん妄”イメージ映像(30:25~)

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