”謎かけ”が生徒とのコミュニケーション! "落語家と校長" 二足のわらじを履く教師 | NewsCafe

”謎かけ”が生徒とのコミュニケーション! "落語家と校長" 二足のわらじを履く教師

社会 AbemaTIMES/社会
”謎かけ”が生徒とのコミュニケーション!

 時間を見つけては校内を歩き回り、生徒に声をかけて笑顔にさせる。大阪府茨木市立三島中学校の磯村昌宏校長(56)は、普通の校長先生とは少し違う。


 磯村校長、実は第9回「社会人落語日本一決定戦」で173人の頂点に立ったアマチュア落語の名人で、「喜怒屋哀楽」という高座名を持つ。この「社会人落語日本一決定戦」では、教育現場をネタにした「宿題」という演目を披露した。これは審査員長も務めた桂文枝さんが作った演目で、「子どもに教えるくだりは迫力があった」との評価を受けた。「当時、桂文枝師匠は上方落語協会会長だった。そういう方からお褒めの言葉をいただけるなんてなかなかない。舞い上がるような気持ちだった」。

 小学4年生の時に落語にハマり、大学時代も落研で腕を磨き、教員になってからも笑いに対する熱い情熱を持ち続けてきた。最初に勤めたのは、いわゆる"荒れた学校"。そこで現場に笑いを持ち込むことを思いついたという。「先生方にも生徒にも笑顔がなく、人を信じられないという雰囲気を感じた。これは何とかせなあかんなと思った。そこで学生時代からやっていた落語を使って学校を明るくしたいなと。教育の現場に笑いを入れることによって、子どもも先生も生き生きとさせたいなと。時間はかかったけれども、生徒が声を出して挨拶をしてくれるようになった」。

 校長になった今、落語家の二足のわらじで目指すのが、教育に笑いを取り入れた"笑う学校"だ。「もちろんやることはやるけど、校長室にいるのがあんまり好きじゃない」と、デスクワークをこなす傍ら、授業中の教室の中にどんどん入っていく。「授業についていけない子とか、勉強が苦手やなという子にちょっと声をかけるだけで違う。"うわ!校長先生来た""声かけてくれた"というだけで子どもたちは喜ぶ」。


 先月のある日曜日、磯村校長がやってきたのは地域の人向けの"寄席"。アマチュアであり、ボランティアなので、高座の準備はすべて自分で行う。「1日2回はしんどいですわ。多い時は3回もある」。

 「去年度から三島中学校の方で校長をやらせていただいている。教室入っていって"『おはよう"と言うたら、生徒が"と、かけまして"とか言うのね。もう笑いが多い。この間なんか廊下を歩いとったら、"校長先生"なんて言うてくれない。どない言うと思う?"師匠!"って言うからね」と学校の面白エピソードで場を盛り上げていた。


■"謎かけ"は校内コミュニケーションの重要なツール

 その三島中では、磯村校長が始めた「謎かけ」が校内コミュニケーションの重要なツールになっており、生徒たちも楽しんでいる。「僕が廊下で"おはよう"と言ったら、咄嗟に"と、かけまして"と言われるから、"おはようとかけまして夏の暑い日に着るポロシャツと解く、その心はやっぱり朝(麻)が気持ちいいでしょう"と(笑)」。


 放課後には卓球部の練習に顔を出し、「がんばれ、がんばれ。元気出して、声出して」と声をかける。「佐藤君はなぞかけが得意。"やりながら考えてや。卓球とかけまして?」と、練習中の生徒に無茶ぶり。すると生徒も「卓球とかけまして、職人さんと解く、その心はどちらも"板についている"でしょう」と見事な答えを披露した。

 「教師は喋るのが商売。教室の一番後ろにいる生徒までしっかり声が届かないと、いくら大事なことを言ってもだめ。寄席も一緒。最初に落語家の方に教えられたのは、"寄席の一番後ろにいるお客さんに届く声でしゃべらないと、いくら面白いこと言っても笑ってくれない"ということだった。そして、入学式、卒業式とかで校長が前に出て偉そうなこと言っても、生徒は聞いてない。何か心に届くようなことを謎かけにくるんで伝えていけたらいいかなと思っている」と話す磯村校長。生徒を叱るときにも、謎かけを使う。

 「修学旅行で泊まったホテルで、ちょうど良い機会と一般的なマナーについて教えたことがあった。"あかんやないか!"と怒るのは簡単だけど、せっかくの修学旅行の場で怒ったらしらけてしまうし、ここはユーモアに包んで指導した方がいいのかなと思った。そこで"宴会場で履くホテルのスリッパとかけまして、夢が破れた時と解く、その心は履かない(儚い)ものでしょう"と。叱るだけじゃ残らないが、これなら後々まで覚えてくれているだろうし、大人になった時に"先生、あの時あんなこと言っていたな。部屋のスリッパ履いていったらダメなんや"ということがいつまでも残ってくれたらそれでいいかなと思う」。


 そんな磯村校長が、逆に生徒から教わることも多いという。


 「生徒集会の時に、"一生懸命頑張ってくれている生徒たちとかけまして、南海トラフと解く。その心は、いつかは大きな自信(地震)につながるでしょう"と言った。みんな笑ってくれたし、拍手もくれた。でも次の日、3年生のある男子生徒が来て"先生、あれはシャレにならんよ。地震で悲しんでる人もいるのに、それを笑いにするのは先生違うんちゃうの?"と言った。ドキっとした。しもた、と思った。その子は誰かが犠牲になる笑いは本当の笑いじゃないっていうのを分かってくれてる、そこまで考えてくれていると思って嬉しかった」。

 磯村校長の教育は、これからも続く。「SNSで仲間外れにしたり、悪口を言ったりというのは残念ながらある。でもそれはダメ。目と目を合わせて、顔と顔でしゃべらなきゃダメだということを、これからも言い続けたい」。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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《AbemaTIMES》

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