インフルエンザ流行の兆し!一度の服用で済む話題の新薬「ゾフルーザ」を解説 | NewsCafe

インフルエンザ流行の兆し!一度の服用で済む話題の新薬「ゾフルーザ」を解説

社会 AbemaTIMES/経済・IT
インフルエンザ流行の兆し!一度の服用で済む話題の新薬「ゾフルーザ」を解説

 10月に入り、インフルエンザの予防接種が本格化している。すでに各地で患者が急増しており、学級閉鎖数(9月)は、過去最多の患者数が報告された昨シーズンと同数の58校に上っている。


 そんな中、今年に入って登場した抗インフルエンザウイルス剤「ゾフルーザ」(一般名「バロキサビル マルボキシル」)が注目を集めている。日本の製薬会社である塩野義製薬が開発した新薬で、1回の服用で済むことから、1日2回・5日間の服用が必要な「タミフル」など従来の薬以上の利便性の高さが期待を集めている。


 池袋大谷クリニックの大谷義夫院長は「細胞内で増えたインフルエンザウイルスが外に拡散していくのを防ぐのがタミフル、リレンザ、イナビルといった従来の薬。ゾフルーザが画期的なのは、遺伝子レベルで増殖を止めるので、より早い段階で効果が出る。データでは熱が下がるまでの期間や症状が軽くなるまでの期間はタミフルなどと大きく変わらなかったが、人にうつす可能性がある期間は明らかに短い」と話す。

 さらに「タミフルの場合、熱が下がると服用を止めてしまう人もいるが、それでは耐性ウイルスができてしまう可能性があった。1回で済むのであれば患者さんにとっても楽だし、今後データが蓄積されていけば、"熱が下がって2日間、発症してから5日間"だった出席停止の期間も短くなる可能性もある」と指摘した。


■副作用の心配はゼロではない?

 一方、「ゾフルーザ」には不安材料もあるようだ。タミフルの場合、動悸、血圧低下、蕁麻疹、息苦しい、意識がぼんやりする、うわ言、突飛な行動を取るなどが副作用として認められており、日本でも大きな議論を呼んだ。


 大川子ども&内科クリニックの大川洋二医師は「ゾフルーザには大流行を防ぐ効果もあるのではないかと期待している。やはり耐性ウイルスを作り出す可能性も指摘されているが、それにどれだけ病原性があるかも含め、今後の研究が必要だ」と話す。

 大谷医師は「まだまとまったデータがなく、詳細はこれから分かってくると思うが、副作用が出る確率はタミフルと変わらないということになっている。具体的には肝機能が悪くなる、下痢、稀に目眩。ただ、今のところ子どもの異常行動は問題になっていない」と説明。

 「薬に"100%安全"というものはない。タミフルの問題についても、インフルエンザそのものによる脳症や髄膜炎での異常行動ということで、薬との因果関係はかなり否定的になってきている。かといって結論づけられているわけでもない。もしかしたらゾフルーザでも同じようなことが起こるかもしれないが、現状の臨床試験ではタミフルと比べて副作用が大きかったというデータは出ていない。心配な方もいっぱいいらっしゃるし、特に妊婦の方はタミフルを使ったほうが良い。そこは患者さんと私たち医師との相談の中でメリットとデメリットを考えながらで決めていくということになる」。

 また、大谷医師はあくまでも予防接種は受けておくべきだと話す。「予防接種で免疫を高め、発症率、重症化を低下させる必要がある。ただ、今打ってしまうとピークの3月には切れてしまうので、11月上旬ごろ打っていただくのがいい。皆さんが2月ごろにもう1度打ってしまうと、ワクチンが足りなくなってしまう可能性もある」。


■スピード承認の背景に、製薬業界が抱える事情も

 そんな「ゾフルーザ」は、通常およそ1年の審査期間がかかるところ、厚生労働省が2015年に設けた「先駆け審査指定制度」によって、昨年10月の申請から4か月後の今年2月に承認された。価格はタミフルが1170円(5日分)のところ、ゾフルーザは1730円(1回分)だ。3月から販売が開始され、今年度の売上は130億円を見込む。

 大谷医師はこの制度について「日本はチェック項目が多く、数年前は審査期間がもっと長く、ともすると海外に抜かれがちだった。そこで期待される日本発の医薬品を世界に先駆けて承認しようと頑張って早く審査する制度。私も4か月は早いと思ったが、アメリカでも論文が発表され、年末頃を目安に承認されるのではないかと言われている」と話す。


 『よくわかる医薬品業界』の著者で、伊藤忠テクノソリューションズの長尾剛司氏は「薬価を算定する際には、何年でどれだけ売れたら利益が回収できる、ということが加味されていると思う。そもそも申請する時の症例数が基準になっているので、患者さんの数が少なければ薬価を上げざるを得ない。しかし開発する会社の数が増えたり、投与されるケースが増えたりすれば、製薬会社的に薬価が下げても大丈夫となる」と話す。

 しかし、大手製薬会社の研究開発の費用(2015年)を見てみると、日本が武田薬品3459億円、アステラス製薬2257億円に対し、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ(スイス)1兆924億円、ノバルティス(米国)1兆320億円、ジョンソン・エンド・ジョンソン(米国)1兆240億円と、いずれも1兆円を超える規模だ。


 長尾氏は「やはり今は医療費削減という政策の煽りを受け、薬価が下がる傾向にある。また、特許が切れたものに関してはジェネリックを推奨している国もあるので、なかなか次なる研究開発費を投資するための利益が生み出せなくなっているのが現状だ」と説明した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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