震災から半年~原発事故で生活を奪われた人々~ | NewsCafe

震災から半年~原発事故で生活を奪われた人々~

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3月11日の東日本大震災からもうすぐ半年。東京電力の福島第一原子力発電所の事故により福島第一原発から20キロ圏内はいまだに警戒区域のため、原則立ち入り禁止となっています。
その自治体の一つ、浪江町。この町は、二本松市に町役場を移しています。町民たちは「本当に自宅に帰れるのか」という疑問や不安、いらだちを持っています。

そんな中で、浪江町議会による、仮設住宅や民間の借り上げ住宅に住む町民のヒアリングが8月末から行われています。町議会では、次のような町に対して緊急申し入れをしています。

・仮設住宅等の自治会の早期設立
・仮設住宅入居者に対する丁寧な説明と予定工程表を開示
・生活支援物資は、平等かつ早急に配布
・避難町民の素材未確認者の確定作業を早急に進める
・全町民を対象にした定期的な内部被爆検査を早急に実施する
・ホールボディカウンターを診療所に設置する
・被災者の債務調査は、できる範囲で各団体を通し実態調査をする
・電話を含む窓口対応は、十分注意し誠意をもって対応する
・町が貸し出すフォトビジョンの内容を充実させる
・町民が真に望むことは、放射性物質の除去である。国の責任において放射性物質を早急に除去するように求める。その際、具体的な方法と工程表、さらには具体的な処理方法を速やかに開示するよう強く求める
・放射線量の基準は、3月11日以前の平均値とする
・被災町民への行政サービスに応えるため、条例改正を含め必要かつ適正に、支所、出張連絡所を設置する

9月5日、二本松市の郭内公園内の仮設住宅で町民との懇談会が開かれました。
町議会・産業建設常任委員著会の渡辺文星委員長は、「今後も大変苦労があるだろう。現状の問題や将来への意見を伺いたい」と挨拶。また、町議会としては、「3.11以前の平常時、0.04~0.06μSvにすべき」と述べ、今後は除染が何よりも命題だとの認識を示しました。

この日は町議会側が、町民のヒアリングをしようとしたが、集まった町民たちは、いらだちや不満を分かってもらおうと必死でした。町議会側の説明が終わる前に、意見を言い始める人々。焦りが見え隠れしていました。

具体的なやりとりを聞いてみました。
たとえば、「本当に除染できるのか?」との質問に、町議会としては「国の言っている年間20μSvをクリアするのは、ハードルは高い」との認識。 また、「帰れるまでの生活はどのように補償してくれるのか?との問いには、「国の責任を問う」と答えしか返って来ませんでした。これらの問いだけを見ても、町議会が町民のヒアリングをするといっても、すぐに何かができるわけではないことが分かります。

マスメディアの報道でも憤りがあるようです。「関東のメディアが取材に来たが、勉強不足だ。東京電力の社長が避難所で土下座したシーンがあったが、インターネットでは『お金をもらって何を騒いでいるのか?』との書き込みがあり、バッシングされている。それが今も削除されずに、ネット上に残っている。明らかに町としてPR不足なのではないか」との意見も。町民たちは、インターネットの掲示板をよく見ているようで、町に対する短絡的とも思える書き込みには敏感です。もちろん、書き込み内容への怒りはありますが、勉強不足の記者と出会うたびに、町の説明不足が原因ではないか、と思い始めたのです。また、県が違えば、「他人事」として捉えられてしまう雰囲気も感じ始めていました。

さらには、津波警報がいつ出されたのか、あるいは、原発事故の通報が浪江町がなぜ遅れたのか、についても検証してほしいとの意見が出されました。周辺の大熊町と双葉町には、11日の夜にバスが到着しています。
しかし、浪江町への避難指示は14日となりました。なぜ避難が遅れたのでしょうか。

県と周辺自治体(双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、南相馬市、浪江町)、東京電力とがかわした「原子力発電所に関する通報連絡要綱」があります。それによりますと、事故等があったときには、東京電力は県の関連部署と周辺自治体に対して発生後直ちに連絡するもの、となっています。しかし、この際、連絡すべき周辺自治体の中から、浪江町がのぞかれています。これは、福島第一原発の立地自治体が、大熊町と双葉町であり、浪江町は立地町ではないことが影響していると思われます。

まさか、今回のような大規模な事故が起こることを想定していなかったのではないか…。そんな風に思えるような「通報連絡要綱」になっていたことが原因ではないでしょうか。

今後、このことは検証されるはずです。町議会側もそう誓っていました。

地震と津波の被害だけならば、人的被害もあったでしょうが、町に帰れないということはありません。しかし、原発事故によって、長期にわたって、「人間らしい生活」「当たり前の生活」ができなくなってしまう可能性があるのです。

菅直人前総理は読売新聞(6日付)のインタビューに対して、「しっかりした備えをしなかったという意味で人災だ」「想定していたシミュレーションがほとんど機能しなかった」などと応えていました。8月11日の参院予算委員会でも、「人災という側面も大きい」と答弁していました。それよりも踏み込んだ内容です。責任を認めるのであれば、それなりの対応が必要です。野田佳彦総理は、どのような認識を持ち、どのような手腕を発揮するのでしょうか。

[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://foomii.com/mobile/00022)を配信中]
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