[第25回]心のふたを開ける「心のケア」の難しさ(前編) | NewsCafe

[第25回]心のふたを開ける「心のケア」の難しさ(前編)

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人と話をしていると、相手の「心のふた」をあけてしまうことがあります。ここで言う「心のふた」は、心の傷=心の内側をみせないようにしている「かさぶた」です。普段は、明るく、強がっている人であっても、「心のふた」をあけると、弱さをみせることができます。すべての人に「心のふた」をあけるわけではなく、時には、話の流れでつい話してしまう「偶然」の場合もあります。また、「この人なら話をしても大丈夫」ということで「決めうち」してくる場合もあります。先日、医療関係者とこうした話をしていたら、ふと気になったことがあります。

東日本大震災の被災地でのボランティアにはたくさんの種類がありますが、その中でも「心のケア」に関するボランティアもあります。医療職や心理職が関係している「心のケアチーム」もあります。こうしたチームは専門職ですから、「心のふた」に関する、専門的な対応ができるのでしょう。「心のふた」の開け方や、開けた時の接し方、または地域の専門職への引き継ぎはきちんとなされるように訓練されています。

もちろん、専門職でさえ、「心のふた」に引きずられることがあります。ある人は、特定の人物に「心の内側」をみせるために「ふた」をあけたのです。信頼関係できたからこそ、打ち明ける場合が多くあります。ボランティアの場合は、短期ですので、割り切りも必要です。専門職でさえ、「心の内側」を見て、接したことで、一定程度、引きずられるかもしれません。
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ただ、引きずられ方を熟知していれば、その人のことを思うと同時に、地域の専門職に引き継ぐ一連の流れの中で、「できること」を「できる範囲」で探し続けることができるのかもしれません。

ただ、専門職ではない場合、たとえば教育訓練中の医療職や心理職、教育職の卵たちには、そこまで割り切れないかもしれません。もちろん、まだ卵の場合は、時間をつくって、たびたび被災地を訪れたり、信頼関係ができ、どうしても気になる人ができた場合は、手紙のやりとりができるかもしれません。

ただ、こうした「関係」は、非常に悩ましいことも事実です。被災地での別のボランティアや専門職に「心のふた」を開けない可能性も出て来て、そのときに適切なケアを受けられないかもしれないのです。しかし、卵たちは、そうした経験を将来の仕事に役にだれられるかもしれません。
《NewsCafeコラム》
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